「孤独死保険」で特殊清掃費用や家賃損失をカバー。最大300万円の修理補償で事故物件リスクに備える
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単身高齢者の入居リスクとして、孤独死による事故物件化を心配する賃貸オーナーも多いのではないだろうか。リスクの増加に合わせ、「孤独死」で生じる家賃収入の損失や修理費用を補償する保険も登場している。万一のリスクに備えて加入しておけば心強い。
孤独死対応保険でリスク軽減!家賃の損失を最大6カ月間補償
高齢者人口が増えるにつれ、独居老人の「孤独死」も増加している。これは高齢入居者の受け入れを考えるオーナーにとって大きなリスクだ。不幸にも発見が遅れた場合、残された家財の処分、特殊清掃費用や原状回復費用に加えて、事故後の空室、家賃の値下げによる損害も発生する。そこで、事前対策として入居者が死亡した後の損害を補償する保険が注目を浴びている。
(株)あそしあ少額短期保険の家賃補償保険『大家の味方』もその一つだ。火災・風災・水災・入居者の死亡など、様々な事故により賃貸物件に損害が生じ、リフォームや特殊清掃が必要となった場合、その期間中の家賃収入の損失が最大6カ月間補償される。
「お部屋で入居者様が亡くなった場合、病気死亡、不慮の事故、自殺、殺人事件など全てが対象となります」と栗沢社長。同社が物件管理会社と代理店契約を結び、オーナーは代理店経由で加入できる。

平成19年12月28日に関東財務局に少額短期保険業者として登録し、営業を開始。賃貸住宅を所有する人のための保険『家賃補償保険「大家の味方」』や、賃貸入居者専用の家財保険『わが家の保険』などを展開。
特殊清掃の費用も最大300万円補償!手ごろな保険料で契約増加
「この保険では『修理費用担保特約』を付けていただくことで、孤独死によって部屋に損害が発生した場合の修理費用や、修理費用以外の臨時に発生する費用も補償されます」(栗沢社長)
修理費用保険金は1回の事故につき300万円まで補償されるので、部屋の傷みがひどい場合もまずカバーできるだろう。ただし、敷金等で充当・補填がされた金額は、これを差し引いて支払われる。
さらに臨時費用保険金として、死亡原因が犯罪被害である場合は、1回の事故につき50万円、それ以外の場合は20万円が支払われる。
保険料は、例えば1棟3室で月額家賃が計20万円、修理特約付きの場合、年間で1万150円、1室あたり約3383円だ。低コストでリスクヘッジができるため、オーナーや管理会社からの問い合わせも多く、2010年の販売開始以来、右肩上がりに契約件数が増加しているという。
孤独死対応保険はこれまで少額短期保険会社が主に手掛けてきたが、需要の高まりから大手損保も相次いで参入し、火災保険とのセットにした商品や集金代行・家賃保証とセットにした商品も登場している。カバー範囲や保証額など、ご自身の求める条件に合うものを選ぶといいだろう。
(株)あそしあ少額短期保険が扱った孤独死の事例
入居者:男性
発見までの日数:3カ月
事故場所:埼玉県川口市
事故状況:浴室で入居者死亡
保険金総支払額:348万2000円
支払額の内訳:
修理費用/300万円(遺体の腐敗が著しく戸室復旧には相当期間がかかった)
臨時費用/20万円(死因は不詳だが犯罪性なしと判断)
家賃補償/28万2000円(4万7000円×6カ月)
入居者:男性
発見までの日数:判定できず
事故場所:神奈川県川崎市
事故状況:居室内で入居者死亡
保険金総支払額:209万3391円
支払額の内訳:
修理費用/171万9391円(猛暑の中、エアコンの稼働もない状態のまま発見されたため、遺体の腐敗が進み消臭作業が必要となった)
臨時費用/20万円(病死、犯罪性なしと判断)
家賃補償/17万4000円(5万8000円×3カ月)
他にもある孤独死対応保険!月額300円/戸で孤独死に備える
アイアル少額短期保険(株)が日本で初めて販売開始した保険商品「無縁社会のお守り」は、1戸室あたり月額300円で、遺品整理・原状回復費用、家賃保証が受けられるというものだ。家賃保証は最長12ヵ月と、家賃低下や空室期間が長期化した場合にも家賃損失を補填できる。
まだある!安心・安全に高齢者を受け入れるための方法&対策
※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2017年3月6日時点のものです。
取材・文/菱沼 晶 撮影/青木 茂也、工藤 朋子 イラスト/浅羽 ピピ