1階の空室どう埋める?駅遠など賃貸住宅の不利を克服するアイデア

「1階」「駅遠」など、空室になりがちな賃貸住宅の不人気条件を逆手に取って、安定入居を勝ち取るターゲット設定とリフォーム術を紹介します。ポイントは特定のターゲットに向けた入居条件や設備でアピールすることです。

ペット可、子育て世帯向けなどターゲットを絞ろう

立地や階数は、いくら入居者から敬遠されたとしても、改善できない条件です。特に「駅遠×1階」は、家賃を下げてもなかなか空室が埋まりにくいほど人気が低いことは確か。

でも、あきらめることはありません。多数のニーズから少し視点をずらし、特定のターゲットに向けてアピールすることで、入居率を高めることは可能です。

施策1:1階の空室は子育て世帯にニーズあり

1階の空室どう埋める?駅遠など賃貸住宅の不利を克服するアイデア2


1階の部屋は、前面道路からの視線にさらされプライバシーが守りにくいことや、植栽や塀で囲うと、泥棒の恰好の隠れ蓑になり、侵入されやすいといったセキュリティ上のデメリットが指摘されます。そのため入居者「2階以上」という希望条件で部屋探しをするケースが少なくありません。

1階の空室が決まりにくいのは事実ですが、やはりターゲットを絞ることで入居促進につなげられます。たとえば、小さな子どものいるファミリー世帯。2階以上では、子どもが飛び跳ねたり走り回ったりして下階への騒音を招くことから、1階を希望するケースがあります。専用庭付きなら、子どもを庭で遊ばせたり、ガーデニングができるなど、積極的なメリットもあります。

もちろん、1階の部屋であれば防犯性能を高めることも忘れずに。ガラスに貼る透明な防犯フィルムや、防犯カメラ、ディンプルキーや電子錠、あるいはホームセキュリティなどの導入を検討してください。

施策2:高齢者の受け入れ・改装も有効

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高齢者は階段の上り下りのない1階を好む傾向があります。「高齢者を断らない」という姿勢に転換するだけで空室問題を改善することができるわけです。

さまざまなトラブルを懸念する声もありますが、高齢者向け家賃債務保証、高齢者見守りなど、さまざまなサービスが整っていますので、オーナーの意識次第で発想の転換は難しくありません。

また、高齢者を受け入れるなら、下図表のようなリフォームの実施をお勧めします。物理的なバリアをなくすこと、ヒートショック防止のための温度のバリアをなくすこと、視覚や筋力の衰えに対応することがポイントです。これらのリフォームに関して、民間賃貸住宅向けの助成制度を設けている自治体もありますから、問い合わせてみましょう。

高齢者向けリフォームの例
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参考記事:賃貸アパート・マンションで高齢者に安心して部屋を貸すための方法

施策3:駅から遠いなら自転車をプレゼント

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「駅近物件」の人気は以前にも増して高まっています。分譲マンションでは徒歩7分以内がスタンダード。同5分以内でないと競争力がないとすらいわれます。賃貸住宅でも徒歩10分以内が一つの目安。15分以上ともなれば、かなりのハンディといえるでしょう。

こうした状況に対して、駅前に専用の自転車置き場を確保し、電動アシスト付き自転車を戸数分用意して、入居者に自由に使ってもらえるようにしたところ、長期空室だった「駅遠物件」が満室になったケースがあります。抽選で何台分か、折り畳み自転車をプレゼントするというサービスもウケているようです。

屋根付き駐輪場、あるいはバイク置場を設置することで入居率を改善したケースもあります。

参考記事:退去予防のため、入居者に何かをプレゼントするのは効果的?

施策4:駅遠物件はペット共生に

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「駅遠」が必ずしもマイナスにならないターゲットもいます。ペット可物件を探している入居者です。駅からの近さより、そもそもペットを飼えるかどうかやペットと快適に過ごせる環境にあるかどうかを重視しています。

犬派の入居者は、散歩しやすい住環境か、ドッグランのできる公園やペットショップは近いか、など周辺環境が特にポイントになります。猫派の入居者は、室内飼いが基本なため、室内の設備仕様をチェックするようです。こうした猫派向けに次のようなリフォームは有効でしょう。

○床材や壁材に傷つきにくい素材を使う。

○キャットウォーク(天井附近の壁面に設置する猫用通路)を居室に付ける。

○脱走防止用の内ドアやフェンス、猫トイレ・スペースを設置する。

1階、駅遠物件は「付加価値」がポイント

1階や駅遠物件の空室には、2階以上や駅近物件とは違う付加価値をつけて、集客する工夫をしていきましょう。

文/木村 元紀

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