大家さん必見!賃貸管理でよく起こるトラブル事例と対処法を弁護士がQ&Aで解説
騒音やペット無断飼育など、近年増加傾向にあるトラブルが発生した場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?賃貸管理で起こりうるトラブル事例の対処法を弁護士の久保原先生・伊藤先生が解説します。
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Q1:管理会社と契約しようと思うのですが、注意すべき点を教えてください。
A1:管理会社の業務に不満を持ったときにスムーズに解約できるのかチェックしましょう。
管理会社・オーナー間のトラブルのご相談が増えています。契約締結時に約束した管理業務を行わない、業務の質が低いなどの他、悪質なケースでは、入居者へ不当な圧力・暴言、賃料を持ち逃げされたというご相談もあります。
もっとも、管理会社の良し悪しを事前に見極めることは実際には難しいと思います。担当者が変わって管理の質が急に落ちることも少なくありません。
対策としては、業務内容を事前によく協議するとともに、不満が生じたら契約を円滑に終了できるか契約書を確認することが有用です。オーナーはいつでも解約できるとする管理会社も増えています。他方で、高額な違約金の支払いなしに解約できない契約を求める管理会社には一般的に要注意です。
Q2:ペット不可物件で入居者が犬を飼っていたため、明け渡しを求めようと思っています。
A2:契約書の禁止条項に該当しても、必ず解除可能とは限りません。事案に応じ検討しましょう。
賃貸借契約を解除するためには、単に契約違反というだけでなく信頼関係の破壊という要件を満たす必要があります。
しかし、ペットが家族の一員という認識も社会に広がりつつある現在、ペットの無断飼育が信頼関係の破壊に該当するとは言い切れません。飼育の態様によっては実害が生じていないこともあります。
裁判では、ペットの種類、頭数、飼育の実態、契約違反の悪質性、物件や隣人へ具体的にどのような損害が発生しているか等の具体的な事情を考慮して、契約の解除が相当な事案かどうか判断されます。
飼育の黙示承諾とならないよう、無断飼育に気付いたら遅滞なく注意すべきですが、これに対する入居者の応答も見て、どう対応すべきか検討することになります。
Q3:入居者から、「上階の住人の足音が響いてうるさいから強く注意してほしい」と言われています。
A3:事実確認、発信源の特定、対応方法の検討は慎重に行ってください。
入居者が受忍限度を超える騒音を発している場合、直ちに騒音を止めるよう求め、程度によっては契約解除、建物明渡請求等を検討することがあります。
しかし、騒音トラブルの対応方法は慎重に考えなければなりません。人によって音に対する敏感度合いは様々で、被害を訴えている方の話を鵜呑みにすると、客観的な状況を掴み損ねるおそれがあります。
また、マンションにおける音の伝わり方は単純ではなく、音のする方とは全く違う部屋が発信源という場合もあります。そのため、不用意に犯人と決めつけて厳しく注意をしてしまうと、余計なトラブルを招くことにもなり得ます。まずは情報を収集し、トラブルを収めるためにどのような方法が合理的か、冷静な検討が必要です。
Q4:現行賃料は高すぎるから減額を請求すると言って、入居者が一部賃料しか支払わなくなりました。
A4:それは賃料滞納です。賃料減額請求をされても、賃料の全額を請求することができます。
借地借家法上、不動産価格の変動、近隣相場との釣り合い等を理由に入居者から賃料減額請求をされたとしても、協議が調わない場合には、減額を正当とする裁判が確定するまでは、オーナーは賃料全額を請求することができます。
ただし、その後に賃料を減額すべきだったという裁判が確定した場合には、正当な金額を超えて受け取っていた賃料に、年10%の利息を付して返還しなければなりません。そのため、利息のリスクはありますが、オーナーは賃料全額の請求が可能で、入居者が賃料を一部しか支払わない場合には賃料滞納となり、滞納が重なれば契約解除も可能となります。
一方、増額請求したのに元の賃料のまま支払われた場合、裁判での確定まで賃料滞納となりません。
Q5:管理会社が賃料等を自己の資金繰りのために利用することはあるのでしょうか。
A5:管理会社の財産と、オーナーから預かっている財産を分別管理する法的義務があります。
契約締結の際、管理会社が初期費用を自身の口座に入金させ仲介手数料を差し引いてオーナーに送金することがあります。
また集金代行業務では、賃料の送金先を管理会社の口座として管理会社が滞納状況を把握し、必要な督促を行って、毎月賃料をまとめてオーナーに送金することが通常です。ただ、悪質な管理会社が賃料・敷金等を多額に流用しそのまま倒産するという事件も一部で発生していました。
そのため法律で、管理会社はオーナーの財産と自己の財産を別の口座に入れる等の方法で分別管理しなければならないという規制が整備されています。分別管理を本当に実施しているか、具体的な分別管理の方法等について管理会社に確認しておくと良いでしょう。
Q6:入居者から、オーナーが電気料金を中抜きしているとのクレームを受けています。
A6:相当金額を超えて請求している場合には、返還義務を負うことになります。
電気契約には、入居者が個別に電力会社と契約する個別契約と、オーナーが一括で電力会社と契約し、各入居者に別途請求する一括契約があります。
一括契約は、電力会社に支払う電気料金が安くなるメリットがありますが、オーナーが入居者への請求金額を自分で計算するため、過剰請求を疑われトラブルとなるケースがあります。
オーナーが相当金額を超えて受け取っていた場合、過剰請求金額の返還義務を負います。裁判例上、電力会社に支払っている電気料金全額を、各入居者の電気使用量の割合で按分する等の方法により相当金額が算定されます。上下水道・ガス料金等の他の公共料金も同様の問題があります。高額の過払請求に発展するケースもあるので、過剰請求には注意しましょう。
※この記事内のデータ、数値などに関しては2023年9月6日時点の情報です。
イラスト/黒崎 玄
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