騒音、水漏れ…リフォーム・リノベーション時に起こりうるトラブルQ&A
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久保原弁護士による法律相談Q&A。今回は、リフォーム・リノベーション時に起こりうるトラブルです。近年、人気も高まり、施工事例も増えていますが、トラブルも比例して増えています。いざというときにも困らないよう、知識を得て、事前に準備をしておきましょう。

Q1:リフォーム工事が入居日までに完了しないため、入居予定者が怒っています。
A1:入居できないということは重大な問題です。施工会社に原因があろうが誠実に対応すべきです。
リフォーム工事の完了後から入居者の募集を始めても、工事完了後はしばらくの間賃料が得られませんので、工事中に募集を行う場合が多いと思います。そうした場合、リフォーム工事が遅延すると、入居予定者に入居を待ってもらわざるを得ない事態が生じ得ます。入居予定者からすれば、住む場所が無くなるかもしれないという状況に立たされるわけです。
入居予定者にとって、工事遅延の原因が施工会社にあるかどうかは関係ありませんので、入居予定者が一時的な住まいを見つけられるよう、まずは誠実な対応が大切です。
事後的には施工会社に対し、ホテル代や引越しキャンセル料の相当額等、入居者への補償分の他、得られなくなった賃料相当額等の賠償を検討することになります。
Q2:訪問営業の施工会社と投資用物件のリフォーム契約を結びました。クーリングオフできますか?
A2:事業主・法人はクーリングオフできませんが、悪質な場合には対処策があります。
クーリングオフは、一定期間内であれば訪問販売等で結んだ契約を撤回することができるとする制度です(特定商取引法)。ただし、クーリングオフは営業目的で締結された契約には適用されないため、個人事業主や会社の立場で締結したリフォーム契約の場合には、この制度を利用することができません。したがって、賃貸オーナーは注意する必要があります。
なお、クーリングオフ以外の方法でも、リフォーム業者のセールストークに騙されて契約をしてしまった場合(詐欺に基づく取消し)や、リフォームの内容について重要な部分を誤解して契約してしまった場合(錯誤に基づく無効)には、代金を支払わず工事を拒む余地がありますので、弁護士等の専門家への相談をおすすめします。
Q3:マンションをリフォーム工事する際に騒音が出るようですが、大丈夫でしょうか。
A3:近隣の事前了承を取る、騒音の程度に応じて迷惑料を支払う等の対策をしましょう。
どの程度の騒音なら了解を得なくても問題がないか、とよく質問を受けることがあります。裁判例上、「受忍限度」がポイントとなり、受忍限度内に留まらない騒音の場合、損害賠償請求が認められることとされています(騒音規制法に基づく規制値が参考になります)。
ただ、そうした法的な検討よりも前に、円満な近隣関係を維持するため、実際の騒音の程度を施工会社に十分確認し、影響の大小に応じた対応を図ることが必要です。
事前に大きな音が出ることをお伝えして、入居者の了解を得れば足りる場合もありますが、著しい騒音が見込まれるときには、迷惑料を支払い、工事の間だけ外へ避難してもらうよう頼むなど、特別な配慮をした方が良いケースもあります。