大規模修繕への不満の原因は自分にある⁈賃貸オーナーに必要な行動の鉄則とは|大規模修繕の鉄則(3)

リフォーム/塗装
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公開日:2022年6月8日
更新日:2022年8月30日
大規模修繕への不満の原因は自分にある⁈賃貸オーナーに必要な行動の鉄則とは|大規模修繕の鉄則(3)1

費用、品質、修繕会社…納得の修繕のために必要なのは"知って理解すること”!「費用が高かった」「修繕会社が良くなかった」…など、納得のいかない大規模修繕になったオーナーの声が多く聞かれます。実は、不満の原因はオーナー自身が修繕や工事について「よく知らないこと」に起因するものが多いことをご存じでしょうか?納得の修繕のために、オーナーに必要な行動を見ていきましょう。

お話を聞いた方
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株式会社市萬 西島 昭さん

不動産オーナー向けの総合コンサルティング会社の代表取締役。不動産活用、空室対策、相続対策を通じてオーナーの資産を防衛。

大規模修繕への不満の原因は自分にある⁈賃貸オーナーに必要な行動の鉄則とは|大規模修繕の鉄則(3)2

株式会社デザインオー建築事務所 丸橋 浩さん

市萬のパートナー建築士で、建築・インテリアの企画設計などを手掛ける建築事務所の代表取締役。省エネ建築診断士マイスターで断熱改修にも詳しい。

大規模修繕への不満の原因は自分にある⁈賃貸オーナーに必要な行動の鉄則とは|大規模修繕の鉄則(3)2

株式会社アローペイント 染矢 正行さん

職人直営の大規模修繕専門会社を経営。社長自身が職人で、技術力やデザイン提案力に定評。業界の枠を超えた新サービス開発も手掛ける。

アパート・マンションの大規模修繕。満足しにくいモヤモヤ感が残るのは理由がある

大規模修繕への不満の原因は自分にある⁈賃貸オーナーに必要な行動の鉄則とは|大規模修繕の鉄則(3)2

アパート・マンションの大規模修繕を実施した経験があるオーナーからオーナーズ・スタイル編集部に「今ひとつ納得いかなかった」と、不満を寄せられるケースが少なくありません。

たとえば「費用が高かったのでは?」「工事は適正だった?」などのモヤモヤを抱えている方が多くいます。ところが実際には、価格や工事自体には問題がない場合が多いんです。

こうしたオーナーの思いと現実とのギャップが生まれる原因を探っていくと、オーナー自身が大規模修繕の中身をきちんと理解していないことに行き当たりました。

大規模修繕の結果に満足しにくい理由は2つ

不動産オーナー向けにコンサルティングを行う株式会社市萬の西島さんは、その理由についてこう語ります。

「満足しにくい理由は2つあります。1つは、十分な説明を受けずに押しの強い営業担当者に負けて契約してしまうこと。

2つ目は、修繕自体が、完成品を買うのと違って、既存の建物に手を入れるサービスなので、オーナーには良し悪しがわかりにくいためです。修繕工事をしても家賃が上がるとは限らないため、対価に見合う品質か、疑心暗鬼になるのでしょう」(西島さん)

このギャップを解消するには、理解度を高めるしかありません。建築士の丸橋浩さんは、修繕会社に依頼する前に、修繕に詳しい専門家に相談することも検討すると良いとアドバイスします。

「マンション管理士等による無料相談の窓口を設けている自治体もあるので、問い合わせてみるといいでしょう」(丸橋さん)

大規模修繕の満足度につながるオーナーの行動の鉄則6箇条

モヤモヤを解消し、納得のいく満足度の高い大規模修繕にするために、賃貸オーナーとして心がけておきたい6つの行動の鉄則を紹介します。会社選びや会社決定など、シチュエーション別におさえておきましょう。

大規模修繕への不満の原因は自分にある⁈賃貸オーナーに必要な行動の鉄則とは|大規模修繕の鉄則(3)2
まずおさえておくこと:費用・施工範囲・工事内容は物件によって異なる

「知人の同じ規模や構造の物件は、もっと修繕費が安かった」と不満を持つオーナーもいます。しかし、建物の劣化状態はきわめて個別性が高いもの。

新築時の施工精度、部材の仕様グレード、立地や環境、建物形状や向きによる風雨や日照の影響、管理状態などによって、傷み具体に大きな差が出ます。その状況に応じて、必要な修繕内容や範囲も異なります。オーナーが「何年持たせたいか」によっても、かけるべき費用は変わることをあらためて認識しておきましょう。

会社を選ぶときの鉄則(1):建物の長期修繕計画を立ててもらおう

修繕会社をいくつかピックアップし各社に見積もりを出してもらっても、修繕の技術やノウハウを持たないオーナーが中身を客観的に比べて、良し悪しを判断するのは、なかなか難しいもの。そこで長期修繕計画を各社に立ててもらうと良いでしょう。

建物の劣化状態の見立て、何年後にどこをどう修繕すれば健全に維持できるかという計画立案、工事費の見積もり、すべての面で修繕工事に精通していないと長期修繕計画は立てられません。施工会社の実力やノウハウがここに表れます。まずは長期修繕計画の立案をお願いできるかから聞いてみても良いでしょう。

会社を選ぶときの鉄則(2):修繕の実績を確認する

修繕を依頼する先として新築した会社を思い浮かべるオーナーは多いでしょう。しかし新築と修繕は、技術もノウハウもまったく違います。新築中心ではなく、築古物件をたくさん見て劣化状態を診断した経験、適切に修繕して保証してきた実績があるかどうか、確認しましょう。

また施工実績の件数だけでなく、公共施設や大手デベロッパーのマンションなど、要求精度の厳しい現場をこなしていることもポイントです。

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会社を決める前の鉄則(1):修繕の内容・範囲を正しく理解・把握する

「すでに大規模修繕は実施した」というオーナーに内容を聞くと、雨漏りが発生して屋上の防水層を部分的に修理しただけだったという例もあります。工事が適正だったかどうかを判断するには、オーナー自身が大規模修繕の必要性や修繕内容への理解を深め、建物状況を把握することが欠かせません。「無料診断」と言いつつ、見積もりや受注を前提にしていることもあるため、第三者の専門家に客観的な診断を依頼するのも有効です。

会社を決める前の鉄則(2):工事中の対応を確認する

契約時に頭に描いた100 点満点をなるべく維持するために、工事中の状況を把握できるようになっているかを事前に確認しましょう。定期的にどんな方法でどういう報告するかを合意して、決まり事として確定させておくことが重要です。報告内容は、工事の進捗状況、作業の内容、入居者や近隣への対応、クレーム処理状況など多岐にわたります。マメに情報交換をしないと、小さな疑問や不安が膨らんで不満になり、最後に爆発することに。

次の修繕のための鉄則:工事履歴を保管する

大規模修繕は1度きりで終わるわけではありません。建物を長持ちさせる意向があるなら、2 度、3 度と計画的に繰り返すもの。計画修繕すべてを満足のいく内容にするためには、過去の修繕工事の履歴をきちんと保管しておくことが大切です。

つまり、どの部位を対象にどの材料を使い、どんなグレードで仕上げたのか、記録を残しておくということです。それによって、次の修繕会社にバトンタッチしやすくなる上、仮に物件を手放すことになっても、売却価格の維持向上につながります。

修繕会社の見極め方は? 見積もり依頼のポイントは?

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修繕会社の良し悪しを判断するためは、(1)修繕工事の実績、(2)入居者や近隣対応、(3)アフター保証の3点をチェックすることが大切です。

これ以外に、修繕会社の選び方にもコツがあります。複数社に相見積もりを頼んで比較するのがセオリーと言われていますが、実は依頼の仕方が大切。

賃貸住宅の大規模修繕専門店である株式会社アローペイントの染矢さんに教えていただきました。

「見積もり前に、建物の長期修繕計画を立ててもらえば、修繕に精通しているかがわかります。次に、漠然と依頼するのではなく、『この予算で15年持つ修繕の見積もりを』と縛りをかける。すると、どこをどう工事すればいいか、様々なアイデアが出てきます。こうして実力やノウハウを精査した上で、納得できる提案をした会社を選びましょう」(染矢さん)

“予算ありき”で本来やるべき工事を省くのは避けたいですが、事業収支を踏まえた予算を提示することは、賃貸事業の経営者としての役割でもあります。

満足度は契約時が100点。減点を防止して納得の工事にするために必要なことは?

大規模修繕への不満の原因は自分にある⁈賃貸オーナーに必要な行動の鉄則とは|大規模修繕の鉄則(3)2

最終的に、大規模修繕に満足できるかどうかは、施工中の修繕会社の対応とオーナー自身の意識に関わってきます。どこに気を付ければ良いのでしょうか。

「オーナーの満足度は、契約した時が100点満点。工事が始まると、進行状況が見えないことなどにより不安や疑問が生まれ、徐々に減点されていきます。大きな不満が残らないように、定期的に報告される仕組みが不可欠。小さな不安もまめに解消できるホットラインを修繕会社と設けておくことが大切です」(染矢さん)

オーナー側も積極的に状況確認に努めることが大切です。

まとめ:オーナーの行動も満足度を左右! 選んだ会社と共同作業の意識で

修繕会社に任せきりにして、工事が終わってから文句を言っても後の祭り。満足感が低いのは、オーナー自身が修繕に関する知識や理解が乏しいこと、修繕会社
とのコミュニケーションが足りないことが大きな要因です。

一旦会社を選んだら、一緒に工事に参加する意識で取り組んでいきましょう。

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大規模修繕の鉄則(1)、(2)は以下の記事でご紹介しています。
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※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2022年6月8日時点のものです。
取材・文/木村 元紀

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