何が、どう変わる?約40年ぶりに改正された「相続法」の改正ポイント

相続/節税/保険
公開日:2018年12月24日
更新日:2019年11月18日
何が、どう変わる?約40年ぶりに改正された「相続法」の改正ポイント1

平成30年7月、相続法が約40年ぶりに大きく改正されました。今回の改正は相続にどのような影響を及ぼすのでしょうか?久保原弁護士による今回の法律相談Q&Aは特別編として、相続法の改正ポイントについて解説していただきました。

何が、どう変わる?約40年ぶりに改正された「相続法」の改正ポイント2

九帆堂法律事務所 弁護士 久保原 和也

2007年、京都大学大学院法学研究科修了。同年、司法試験合格。2008年、九帆堂法律事務所設立。

最高裁で勝訴した更新料裁判の大家さん側弁護団の首都圏担当。更新料裁判では、首都圏で唯一の弁護団所属弁護士としてさまざまな情報を発信。

相続法改正の概要

平成30年7月6日、民法他相続法の改正法が成立しました。民法の相続分野は昭和55年以来、実質的に大きな見直しはありませんでしたが、その間に高齢化がより進展するなど、社会環境は大きく変わりました。

そこで社会の変化に対応するため、約40年ぶりの今回の改正では多岐にわたる改正項目が盛り込まれました。主な改正点をご紹介します。

「配偶者居住権」の新設(2020年4月1日施行)

例えば、自宅(3000万円)及び預貯金(3000万円)を残してAさんが死亡し、相続人が妻と子一人だった場合、妻と子の法定相続分は各50%(妻3000万円、子3000万円)です。

この法定相続分で遺産分割をする場合、妻が自宅に住み続けるために自宅の所有権を相続すると、預貯金はすべて子が取得することになり、妻は生活資金を相続できなくなります。これを改善するため、配偶者居住権が新設されました。

これによれば、子は母(Aの妻)の居住権という負担付きの自宅所有権(所有権は3000万円ですが、負担付きなので評価が下がります)を取得します。仮に負担付き所有権の評価が2000万円だとすれば、現金は1000万円取得することになります。

一方、妻は居住権1000万円(所有権と負担付き所有権の評価の差額)と、現金2000万円を相続できることになります。自宅に住み続けながら、しかも生活資金も相続できるようになるわけです。被相続人の遺言内容や遺産分割の方法に選択肢が加わることになります。

 

遺産分割に関する見直し等(2019年7月1日施行)

1)自宅の生前贈与の尊重

配偶者の老後の生活保障のために、自宅を配偶者に生前贈与や遺贈(遺言によって法定相続人または第三者に対し、無償で遺産を贈与すること。)を行うことや、持分を贈与して共有にするということがよく行われます。

しかし、現行法のもとではこれらは原則として遺産の先渡し(特別受益)を受けたものとして取り扱われるため、相続時には調整され、配偶者が最終的に取得する財産額は結果的に贈与等がなかった場合と同じになってしまいます。

これでは遺贈や生前贈与をした趣旨が活きないため、今回の改正では婚姻期間が20年以上である配偶者の一方が他方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地(居住用不動産)を遺贈又は贈与した場合については、原則、特別受益を受けたものに含まなくてよいとされました。

2)預貯金債権の仮払い制度

相続された預貯金債権は、相続人の生活費や葬儀費用の支払い、相続債務の弁済などのために引き出すことが必要です。しかし、平成28年12月19日の最高裁大法廷決定では「相続された預貯金債権は遺産分割の対象財産に含まれるから、共同相続人による単独での払い戻しができない」と判断されました。

そこで今回、必要な資金需要に対応できるよう、遺産分割前でも仮払いができる制度が導入されました。具体的には、遺産に属する預貯金債権のうち、「口座ごとの預貯金額×3分の1×払い戻しを行う相続人の法定相続分」は単独での払い戻しが認められます(同一の金融機関に対する権利行使の上限は150万円)。

それを超える場合でも、仮払いの必要性があると認められる場合には、他の共同相続人の利益を害しない限り家庭裁判所の判断で仮払いが認められるようになります。

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