賃貸アパート経営と賃貸マンション経営の違いが1分で分かる![建築の基礎知識#3]
「賃貸アパート経営と賃貸マンション経営って、どう違うの?」といった疑問を持つ初心者も多いようです。そもそも賃貸アパート経営とは何か、他の賃貸経営と比べながら、構造や立て方の違いについて解説します。
アパート経営もマンション経営も、賃貸経営の一種
アパート経営、マンション経営ともに、広い意味での賃貸経営の一部です。賃貸経営には、図1のように多様な種類があります。
どちらも、住宅系共同住宅の一棟タイプに含まれると言えるでしょう。
「共同住宅」というのは、建物内に複数の住戸が入り、居住者が玄関・廊下・階段などを共用する建物を指します。一棟タイプとは、建物全体を1人のオーナーが所有して経営するものです。
アパートは長屋建てのケースも増えてきました。「長屋建て」というのは、1棟の建物が境界壁を共有して横に連なっている形式です。
共用の廊下や階段はなく、各戸に独立して玄関があります。共同住宅と一戸建ての中間的なタイプと言えるでしょう。
また、マンション経営のほうは、一棟の中の住戸を1戸単位で所有する区分マンションのタイプもあります。
区分マンションは、さらに、一棟全体が賃貸専用として建てられものと、居住用に分譲されたマンションを賃貸に転用した「分譲賃貸タイプ」に分かれます。一般的には、賃貸専用がワンルーム、分譲賃貸はファミリータイプが多いようです。
ちなみに、昨今流行りの「シェアハウス」は「寄宿舎」に分類されます。個室の中にはトイレや浴室、キッチン、リビングルームがなく、共用スペースにあるタイプです。
アパートとマンションは構造が違う
では、同じ住宅系共同住宅の一棟タイプに含まれるアパートとマンションは何が違うのでしょうか。
通常は、構造の違いとして説明されます。アパートは木造か軽量鉄骨造、マンションは鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨造、重量鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造です。
また、建物の階数も違います。アパートは2~3階建て以下。マンションは3階建て以上の中高層が一般的です。
もっとも、厳密な定義はないため、2階建て鉄骨造の賃貸住宅でも、部屋探しサイトでは「マンション」と表示されているケースも珍しくありません。マンションのほうが、地震や火災などの災害に強く、遮音性が高いなど、高級なイメージがあるからでしょうか。
図2は、構造と建て方別に賃貸住宅の着工戸数の推移を示したものです。
もっとも多いのがRC造の共同住宅、つまりマンションです。それ以外はすべてアパートと考えて構いません。
2番目に多いのが鉄骨造の共同住宅タイプのアパート、3番目が木造の長屋建てアパートです。共同住宅と長屋建てを合わせると、鉄骨造よりも木造のほうが多くなっています。
アパート経営かマンション経営、建築コストと立地の特性で判断
以上の点を踏まえて、アパート経営かマンション経営かを考えてみましょう。活用可能な土地を所有している不動産オーナーの「土地活用」か、土地を持たない人の「不動産投資」かによってアプローチが違います。
不動産オーナーの土地活用の場合は、建築コスト(事業費)と立地特性が大きなポイント。
まず、建設コスト面からいうと、「木造<鉄骨造<RC造」となります。次に、立地面では、都心に近いか郊外か、駅に近い商業系地域か少し離れた住宅系地域かによって判断が分かれます。
大まかに言えば、都心・駅近商業系なら中高層マンション、郊外・住宅系なら低層のアパートが向いているといえるでしょう。
ただし、このあたりの判断は、法規制やマーケットも重要です。
不動産投資の場合は、区分マンションかアパートや一棟マンションを購入する形になります。
図3は各タイプの投資額のレベルです。立地や規模によって変わりますから、おおよその目安として参考にしてください。
文/木村 元紀