大規模修繕の検討前に!施工会社選びで大切な3つのポイント
- 大規模修繕(外壁・屋根)
- 大規模修繕コンサルティング
- 鉄部塗装
- 修繕・補修
「大規模修繕は大事といわれるが、どこに頼めばいいかわからない」というオーナーは少なくない。そこで、修繕工事を進めるダンドリから施工会社の選び方までを紹介する。
大規模修繕をしないと、賃貸経営に支障をきたす!?
そもそも大規模修繕とは、屋根や外壁・外廊下など、主に建物の外回りを対象に行う大がかりな工事だ。各部位の性能を維持するため、鉄部などの塗装は5~10年に一度、足場をかけての大がかりな防水工事は10~15年に一度といった周期で計画的に行うことが望ましいとされる。
だが、手すりが錆びついたり、防水性能が劣化しても雨もり等で直接的な被害がなければ、室内設備が故障した時のように、入居者からクレームが来るわけではない。また、1回の修繕コストも数百万円以上になるため、資金的な余裕がなければ、つい後回しにされがちだ。
しかし、そのまま放置すれば建物の劣化が目立ち始め、競争力が低下。さらに入居率や家賃の下落、ひいては資産価値の低下につながりかねない。いつどんな工事が必要か、長期修繕計画を立て、資金を積み立てることが望ましい。
大規模修繕のダンドリを上図に示した。まずは専門の検査会社または施工会社候補に依頼し、「劣化診断」を行う。建築時の施工の精度、周辺環境や気候などにより建物の劣化の進み具合が違い、修繕の必要度が変わってくるからだ。
次に、複数の施工会社候補と基本計画や仕様の打ち合わせを行い、信頼できる会社に出会えたら、1社を選定。工事着工へと進む。
足場をかける外壁・屋根工事には、小ぶりなアパートでも一カ月程度、大規模マンションなら数カ月かかる。工事費は適切か、入居者がいながらスムーズに工事を進められるか、その成否は依頼する会社の良し悪しにかかっている。今回はそんな会社選びにスポットを当てて、知っておくべき基礎知識を紹介しよう。
【POINT1】大規模修繕の発注方式は3つ。どれがベストな選択肢?
施工会社選定の際に知っておきたいのが、3つの発注方式だ。
1つは、設計と施工を別々の会社に分けて依頼する「設計監理方式」。
通常は、設計事務所や建設コンサルタントが改修設計、施工会社の選定サポート、工事監理を行う。複数の施工会社から選別することによって競争原理が働き、工事費を抑えられる可能性がある。施工中も第三者チェックを受けることで、仕上がりの良さも期待できる。
ただし、工事費以外に目安として工事費の5~10%程度の設計監理料がかかる。小規模な建物の大規模修繕の場合、設計監理料を合わせると、結果的に割高になることもあるので注意が必要だ。
2つ目は、設計と施工を同じ会社に一任する「責任施工方式」。
オーナーが施工会社を選定するため、その会社の実力により工事の良し悪しが分かれる。また複数社に相見積もりを実施して、比較した上で絞り込めば競争原理が働く。
一方で、新築時の建設会社や知り合いの工務店などに特命発注すると、コストが高めになりがちだ。
3つ目は、前述の2つの方式の中間形態となる「管理会社主導方式」だ。
管理会社から信頼できる施工会社の紹介を受け、見積もりの取得までを依頼する。日常的なメンテナンスを行っている管理会社なら、建物の状態をよく把握しているため、施工会社との情報共有の手間がかからない。また、工事に関するトラブルや入居者対応などでも管理会社の協力を得やすくなる。
ただし、管理会社からの紹介時点で施工会社が限定されている場合は、適正な競争原理が働かず、割高になることもある。
各方式のメリットは、良心的な会社を前提にして初めて成り立つ。実は最近、中立的立場を装いつつ、特定の施工会社と結託した「不適切コンサルタント」が横行していると国土交通省が警告している。コンサル料は格安で受注し、高額なリベートを払う施工会社が受注するよう誘導するパターンだ。
入札は出来レース、工事費は相場より2倍以上も割高、施工品質が低く工事のチェックも緩い。そんな甘い誘いに乗らないように要注意だ。