保険?見守り?孤独死への具体的対策|孤独死対策サミット2019潜入レポ

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公開日:2019年6月18日
更新日:2019年12月23日
保険?見守り?孤独死への具体的対策|孤独死対策サミット2019潜入レポ1

高齢社会を迎えた日本において、空室対策、賃貸経営の安定化のために、高齢者へ部屋を貸すことを検討されている方も増えているのではないでしょうか。そんな高齢入居者に対して懸念される問題の一つが孤独死です。今回、オーナーズスタイル編集部が、2019年5月17日に一般社団法人 日本少額短期保険協会が主催した「孤独死対策サミット2019」に参加してきました。

孤独死対策はどのタイミングで行えばいいのか? 孤独死に対してどのような対策が取れるのか? 保険や見守りサービスを選ぶときのポイントは? 最新の孤独死対策を知り、安心して部屋の貸し出しを行えるようにしてください。

孤独死対策は、契約前、入居中、その後の3つのポイントで考える

では、対策として、孤独死に対応した保険に入っていればいいのでしょうか。「孤独死対策サミット2019」では、国土交通省の賃貸住宅対策室・室長、川井紀子さんが、孤独死対策の3つのポイントについてお話をされていました。

まず、国土交通省が作成している「大家さんのための単身入居者の受け入れガイド」によると、孤独死対策としては、孤独死を防ぐ対策と孤独死が起こったときの対策の2つが考えられます。これを賃貸借契約のシーン別に分けると、

・契約前

・入居中

・その後

この3つのタイミングでできる対策が異なってきます。さらに、タイミングが後になるほどできることが少なくため、契約前にしっかりと孤独死対策をしておくことが重要です。

契約前にできる孤独死対策

契約前にできる対策は以下の6つ。ここが一番重要なポイントです。

・入居者に関する情報の丁寧な聞き取り
・終身建物賃貸借や定期借家の活用検討
・近くの社会福祉協議会などのサービスを確認
家賃債務保証業者の活用検討
・損害保険、少額短期保険の活用検討
・様々なサービスの利用を入居者におすすめ

入居者に関する情報の丁寧な聞き取りをする

前半の2つは外部サービスを使わない対策です。

入居者にの相続人となる親族について、住所や連絡先を事前に把握することで、死後の対応をスムーズに進めることができます。もし、親族の情報がわからない場合、入居者の死後に戸籍法に基づいて戸籍謄本等の交付請求をして、親族の情報を調べることになります。

終身建物賃貸借や定期借家の活用を検討する

また、賃貸住宅の契約方式を変えるのも有効な手段です。通常の賃貸借契約ではなく、終身建物賃貸借契約や定期借家契約にすることで、死後に賃貸借契約を終了させやすくなります。

まず、定期建物賃貸借契約は、契約満了の期間を定めているため、期間の満了をもって契約を終了させることが可能です。再契約も可能なため、継続的に入居してもらうことが可能です。定期借家である旨を契約書面に追加して説明するだけで導入できるため、コストもかかりません。

次に、国交省が推進しているのが、終身建物賃貸借契約です。終身建物賃貸借契約は、入居者が亡くなるまでを契約期間とし、賃借権の相続もないため、死後すぐに契約終了となります。

終身建物賃貸借契約を結ぶには、大家さんが事前に都道府県知事の認可を受ける必要や建物の改築が必要になります。これについては、既存建物は手すりをつけるだけで建物要件を満たし、住宅確保要配慮者の専用住宅として登録すれば改築費用などに対して補助金を受けることができるなど、ハードルはそれほど高くないのではないでしょうか。

近くの社会福祉協議会などのサービスを確認する

その他、社会福祉法人などで入居前の保証の引き受けや入居中の見守り、死後の家財処分など、様々なサービスを提供しているところがあります。近隣で利用できるサービスがあるか調べてみるのもおすすめです。

残り3つも、家賃や入居中の見守りサービス、死後の残置物処理や訴訟費用まで保証してくれるサービスなどが多くの会社から出されています。このような外部のサービスについては、それぞれの選び方をこの後でご紹介します。

入居中にできる孤独死対策

入居中にできる孤独死対策は、

・生活パターンの確認

・入居者と会う機会を意識的に作ること

かかりつけ医の把握や家賃の手渡し、見回りを行い、郵便物が溜まっていないか、24時間カーテンが閉まったままになっていないかなどを確認することで、入居者の変化にすぐに気づけ、万が一の場合の対応がスムーズになります。

しかし、なかなか家賃を手渡しにすることや定期的な見回りをするのが難しいという大家さんも多いと思います。そういった場合には、この後に紹介する見守りサービスの活用を検討することで、大家さんの手間を削減することが可能です。

実際に孤独死が起こってしまったら

孤独死後に行うのは、対策というよりは対応になります。相続人に連絡をして賃借権の終了など必要な対応を依頼することです。もし、相続人が不明な場合、相続財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てて残置物などを処分することが原則です。

ただし、相続財産管理人を利用するには費用の負担も大きく、できれば避けたい方法です。そのため、前述したような終身建物賃貸借契約や契約内容に残置物処理についての取り決めをしておくなど、事前の対策によって負担を軽減することが望ましいです。

また、孤独死後には、残置物の処理費用や事故物件化した場合の家賃の損失など、金銭的なダメージが発生することがあります。そのような被害に備えるために、後述する孤独死保険を検討してみてください。

孤独死対策として利用できる外部のサービスの選び方

では、具体的に孤独死対策の外部サービスを3つご紹介します。

・孤独死保険

・見守りサービス

・特殊清掃

特殊清掃は孤独死が起こった後の対応ですが、孤独死を考える上で避けては通れない問題です。

2つのタイプと細かい補償内容を確認! 孤独死保険の選び方

孤独死保険には2つのパターンがあります。一つは賃貸オーナーが加入する家主型、もう一つは入居者が加入する入居者型です。入居者型は、孤独死の補償だけを行うものではなく、家財保険の特約として孤独死への保障も行うというものです。この二つは、被保険者や補償内容などに違いがあり、各保険会社の商品ごとにも違いがあります。

気になる補償内容については、家主型は家賃損失まで含まれているのに対し、入居者型には家賃保証が含まれていません。そのため、孤独死後の原状回復費用、リフォームのための空室期間の家賃損失額は大家さんの負担となります。事故物件化した際の家賃の減額分については保険により補償のあるなしが分かれます。加入の際にはさらに細かな補償内容を調べることが重要です。

また、入居者型は損失に関して相続人へ請求する必要があるため、保険金の請求を行える特約の有無なども確認が必要でしょう。

24時間の監視や電話による確認など多様なサービス! 見守りサービスの選び方

今後、特に高齢者の孤独死対策を考えるうえで検討しておきたいのが「見守りサービス」です。今回の孤独死サミット2019で紹介されていたのは、株式会社アイキューフォーメーションの見守り電気、一般社団法人 在宅支援パートナー協会の見守りコールでした。

見守り電気とは、電気の使用量から入居者の異常を察知してメールで知らせるというもの。スマートメーターにより24時間電機の使用量を計測しているので、普段の使用パターンとの違いを24時間チェックできます。スマートメーターへの交換費用は電力会社負担、月額利用料は300円です。

見守りコールは、自動音声による発信を行い、入居者が電話のボタン操作をして異常がないことや緊急対応が必要なことを知らせるもの。入居者が電話に出ない状態が続いた場合に連絡がつかないことが登録者あてにメールでお知らせされるのはもちろん、問題がない場合にも登録者あてにメールが送信されます。

見守りサービスは他にも多くの会社からさまざまなサービスが出されています。

・高齢者の操作の有無

・確認の頻度

・金額

など、見守りサービスを検討する際には、注意すべき点がいくつかあります。

トラブル報告多数! 安心できる遺品整理・特殊清掃会社の選び方

一般社団法人 家財整理相談窓口の方から、遺品整理・特殊清掃についての説明がありました。

孤独死があった場合、残置物の処理と部屋についた臭いや汚れの除去が必要になります。この遺品整理や特殊清掃を行う企業もしくは個人事業主は全国1万社ほど存在しています。しかし、どこでも同じ対応ではなく、さまざまなトラブルが報告されています。

・高額請求、追加請求

・不法投棄、廃棄物処理法違反

・貴重品の窃盗、建物内への損傷

など、適切な対応をしてくれる会社を選ばなければ、無駄な費用がかかる場合や、トラブルに巻き込まれる可能性があり危険です。

残置物処理をしてもらうならば、一般廃棄物収集運搬業許可を。

残置物から財産性のあるものを買い取ってもらうなら古物商許可を。

遺品を親族の自宅などに運んでもらうなら一般貨物運送業の許可を。

他にも、事前にチェックすべきポイントはたくさんあります。トラブルに巻き込まれないために、チェックポイントをしっかりと把握しておくことが重要です。

孤独死対策のまとめ

孤独死は、高齢者だけの問題ではありません。現役世代にも多く起こっている問題です。単身者向けの賃貸住宅を所有している大家さん全てが、リスクについて把握しておくことが重要です。

また、国土交通省での住宅セーフティネット制度の整備にも見られるように、高齢者などの住宅確保が問題になっています。これは一つのチャンスでもあるのかもしれません。孤独死対策を適切に行うことで家賃保証会社の審査が通るケースもあるなど、複数のサービスを組み合わせることで、リスクを最小限に抑えることが可能です。

事前に対策を行っておけば、高齢者も入居者ターゲットとして十分考えられると思います。現状の入居者状況の見直しや空室対策の一環として、孤独死対策を検討してみてはいかがでしょうか。

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