どのタイミングで何する?繁忙期に満室にする空室対策

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自分なりに空室対策を実践しているのに、なかなか埋まらない…。そんな悩みを持つ大家さんは必見!簡単にできることから、差別化の仕方まで、繁忙期前にすぐに使える空室対策を入退去のシーンごとに一挙にご紹介します。

物件の評価を知る

物件を客観的な目で評価して、競合との差はどこにあるのか、ウィークポイントをきちんと認識しておこう。

採点してみよう!物件評価チェックリスト

下記の10 項目の評価箇所を調査項目を総合して5段階で(※)評価してみよう。1)~4)は重要項目なので配点が高くなっており、5)~10)点の配点は低くなっている。

(※)A ~ E の評価基準・・・A とても良い 、B 良い、 C 普通 、D あまりよくない、E 悪い

出典:「賃貸経営マイスター」(住宅新報社)

1996 年(株)アートアベニュー設立。著書に「賃貸経営マイスター」(住宅新報社)がある

株式会社アートアベニュー 代表取締役 藤澤 雅義さん

まずは、ご自分の物件を客観的に知ることから始めましょう。良いところも悪いところも知ってこそ、物件に最も適した対策がわかるというものです。上に掲載した『物件評価表』は、借り手が部屋を決める際のポイントとなる上位10項目を5段階で評価する手法で、物件の大まかな成績表になります。


オーナー様はともすればご自分の物件を過大評価しがちです。冷静な目で物件を採点してみてください。その後で管理会社や仲介業者の方にもやってもらい、ご自分で採点したものと見比べてみてはいかがでしょう。プロの判断とご自分の感覚がずれていないかどうかもチェックできます。課題点が浮かび上がったら、費用対効果の高い対策から優先順位をつけて早速実践してみましょう。


退去・原状回復のとき

退去理由を把握し、問題があれば改善する対策を施したい。入居者ニーズに合ったリフォームや設備導入をすることも大切だ。

物件を見直す

退去者からアンケートを

退去の理由やどこに不満があったかを尋ねるアンケートを作成し、退去予告が出た時点で入居者に渡す。感謝の言葉と「次に住む人のために」とのお願いの言葉を書き添えるのも忘れずに。セットでプレゼントを渡すと回収率が高くなる。

空室に泊まってみる

空室が出たときがチャンス!自らの物件に実際に泊まってみよう。設備の調子や建物内外の騒音、暑さ・寒さ、部屋の使い勝手、ほかの部屋の入居者の様子などがわかり、様々な改善すべき点を発見できる。

物件名を変更する

簡単でコストもかからないのがコレ。(株)アートアベニュー藤澤さんも、「ネーミングは語感が大事。プラスイメージの言葉なら意味は何でもいいのです」と語る。『コーポ○○』や『○○ハイツ』は古いと心得たい。

入居者ニーズの高い設備を導入する

SUUMOの調査によれば、入居者が「次に引っ越す時は(も)絶対欲しい設備・仕様」は、都市ガス、追い焚き機能付きの風呂、など光熱費削減系の設備が目立つ。また、TVモニター付インターフォン、防犯カメラなど防犯系設備や、ネットショッピングの時代を反映して宅配ボックスも上位にランクインした結果になっている。まずこの辺りの設備を見直すといいだろう。

出典:リクルート住まいカンパニー 2014 年度 賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査(首都圏版)

実践した読者の声

東京都・Nさん


「1前に防犯カメラを4 台設置したところ、若い女性のご入居が増え、その後も満室続き。予想以上の効果に驚きです。」


友人紹介制度を導入する

退去者に、次の入居者を紹介してもらえたら、退去者に謝礼を払い、入居者には礼金、敷金などをサービスするといった特典を設けてみては?これで決まれば、募集の手間が省けて、空室期間のロスも減り、賃貸経営が安定する。

ただし、成功させるためには、管理が充実している、気配りが細かいなど、退去者が誰かに紹介したくなるような物件であることが重要だ。

リフォーム時に第三者の意見を聞く

例えば世代の違うオーナーが、20代の入居者の好みを的確に把握するのは難しいもの。オーナーのセンスと入居者ニーズが食い違い、クロスや床材、建具のデザインなど、良かれと思って行った演出が、かえって逆効果になってしまっているケースがよくある。

かといってありきたりの内装では、インターネットの募集サイトに写真を掲載しても入居者に注目してもらえない。

そんな時には、周りの人に意見を求めることをおすすめする。

もしファミリー向けの物件を持っているのなら、自分の子ども夫妻に「どんな内装なら住みたいか」と聞くのもいいだろう。

また、内見数を増やしたいのであれば、仲介担当者に「どんな内装だったら案内しやすいか」、「内見時に印象に残りやすい内装は?」といった観点で意見を聞いてみるのも効果的だ。

募集のとき

フリーレントの効果は?ポータルサイトで目立つ家賃設定とは?条件をゆるめるメリットなど募集時に役立つ知識をご紹介する。

フリーレントにする

契約後の一定期間、当初の家賃を無料にするフリーレントも空室対策におおいに効果的だ。

例えば学生の場合、早いと1月頃から部屋探しをするが、実際に部屋が必要となるのは入学する4月から。しかし、入居申込みをすると、一般的に2間後には契約となり、家賃が発生する。

行動する大家さんの会・廣田さんは、「そうした学生さん向けとして、最初の0.5~1.5か月をフリーレントにして、実際に入居する3月下旬から家賃が発生するようにしています。その分、収入減にはなってしまいますが、早めに入居者を確保できるメリットがあります」と語る。

家賃を下げると、既存の入居者から不満が出る可能性や、さらには物件の価値を下げてしまうことになる。フリーレント制度を導入してみよう。

家賃をキリのよい値段に設定する

募集のポータルサイトでは、通常5千円きざみで家賃検索ができ、その中でより安い家賃が上位に表示される仕組みになっている。

つまり、「7〜7.5万円」の価格帯で検索が行われると、7万円の物件が最初に画面に出てくるわけだ。

逆に7.4万円の物件は後の方の掲載になり、目立たない。

キリのよい家賃にしておけば、入居希望者の目に留まる確率が高まるのである。このメリットを活かすため、1千円、2千円の余分は思い切って切り捨てよう。その分、管理費を上げて調整すれば、月の総額を減らすことなく、検索で優位に立つことができる。

検索メニューのポータルサイトでの家賃表示例

条件をゆるめる

縮小する賃貸市場で、需要増加が期待されるのが在留外国人だ。

留学生の場合、立地条件が合えば、築年数や広さはそれほど重視されない。3点ユニットバス物件でも入居者を確保できる。トラブルは事前説明の徹底で回避できるケースがほとんど。外国人対応の家賃保証システムや定期借家契約を活用すればより安心だ。

また、ペット禁止の条件を「ペット可」に緩める方法もある。

(株)アートアベニューの藤澤さんは、「今は分譲だと8割以上がペット可の時代ですが、賃貸物件ではまだ希少。ニーズが高いため、家賃も高めに設定できます。特にファミリータイプはおすすめです」と語る。

実践した読者の声

大阪府・Iさん


「空室に困っていたら、仲介会社から留学生を紹介されました。最初は不安でしたが、トラブルもなく家賃もきちんと入ります」


物件チラシを工夫する

物件の存在を不動産会社に印象づけるために、手作りのチラシを渡しては?

写真とコメントで魅力や特徴を視覚的にアピールし、仲介担当者が内見者に短時間で的確に説明できるよう工夫しよう。

(行動する大家さんの会・廣田さん)「繁忙期に部屋探しをする人は転勤や入学に合わせて入居日を決めています。チラシには入居可能日もきちんと表示した方がいいですね」

値下げ幅を事前に伝えておく

家賃の値引き交渉に対する心の準備もしておきたい。

仲介担当者が現場から打診の電話をかけてきたとき、即断すればすぐに入居が決まる。「一日考えさせて」と悩むようでは、入居者は別の物件に逃げてしまいかねない。

あらかじめ受け入れられる値引きの限度額を仲介担当者と決めておき、オーナーへの確認を挟まずにスムーズな契約をすすめてもらおう。

内見・契約のとき

借り手はネットで物件を絞り込んでから訪ねてくる。足を運んでくれた内見者は貴重な存在だ。細やかな気配りで射止めよう。

おもてなしの心で内見者を迎える

内見者に入居を決めてもらうために、「おもてなしの心」を大切に。スリッパ、メジャー、間取り図などを揃え、各所にアピールポイントを書いたポップを貼っておくのも効果的。

九州大家の会・かずさんは、「内見の情報が入ったら、事前に清掃状態の確認に行きます。当然のことをきちんとやって、仲介担当者から『紹介したいオーナー』と思ってもらいたいから」と語る。

実践した読者の声

千葉県・Kさん


「オーナーだから知っている物件の魅力を内見者に伝えたいので、自分でコメントを書いたポップを貼っています」


家具付きにする

ひと部屋だけでもいい。空室に家具、照明、小物を置けば、そこがモデルルームに早変わりする。洒落た北欧家具を販売する「イケア」などで揃えれば、数万円の投資で、物件を素敵に演出することができる。

(藤澤さん)「家具があると入居後のイメージが湧くので成約率が高まりますし、がらんとした部屋よりも広く見える効果もあります」

また、「入居してもらえたら、気に入った家具をそのままプレゼント!」という特典をつければ、物件選びに悩んでいる入居希望者に「お得な部屋を見つけられた」と喜ばれ、成約率もいっそう高まるだろう。

IKEA で選んだコーディネート。費用は約4 万円

退去を予防

現在住んでいる入居者を大切にして長期間住み続けてもらい、退去を減らすことが、安定した賃貸経営に直結する。

更新時にプレゼント・コミュニティ作り

住み続けてくれる入居者に感謝を込めて、更新時にプレゼントを。水まわりやエアコンのクリーニング、壁紙の張り替えなどがおススメだ。

九州大家の会・今富さんのように、「物件から大学への通学途中に坂があるので、学生入居者には、最低1年間は住んでもらうことを条件に、電動アシスト自転車をプレゼントしています」というオーナーもいる。

また、良好なコミュニティー作りも退去を防ぐ盾となる。エントランス付近にゆとりがあれば、椅子とテーブルを置いて交流スペースにしては?管理会社にパーティなどイベントを企画してもらうのもいい。

実践した読者の声

東京都・Uさん


「更新時にお礼の手紙を添えて、お菓子や商品券を贈っています。おかげで長期住んでくれる入居者様が多いですね」


入居者アンケートを実施

賃貸生活に不満を抱いている入居者のうち、それを声に出す人はわずか。多くの人は、「言ってもどうせ改善されない」、「クレーマーと思われそう」といった理由で我慢をしていると言われている。そして不満が募れば、黙って出て行き、問題点をわざわざ指摘してはくれない。

退去を防ぐには、入居者の声を積極的に吸い上げることが肝心だ。たとえば入居して3カ月、半年など、一定の期間が経った時点で、クオカードなど粗品付きのアンケートを取って、隠れた不満を聞き出しては?もちろん改善できる要望にはすぐ対応したい。

入居者アンケート質問内容例
  • 不満な点は?
  • 清掃や管理はどうか
  • 住み心地について
  • 部屋の使い勝手
  • 退去の予定

※この記事内のデータ、数値などに関しては2015年12月7日時点の情報です。

取材・文/菱沼 晶 イラスト/黒崎 玄

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