相続した財産を減らしたくない!賃貸住宅を建てる最適なタイミングの判断基準とは?

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公開日:2021年12月9日
更新日:2021年12月20日
相続した財産を減らしたくない!賃貸住宅を建てる最適なタイミングの判断基準とは?1

親から相続して受け継いだ未活用の土地や築古物件を持っている場合に、何もしなければ財産が減ってしまうおそれがあります。そこで、新築や建て替えをすべきか否かの判断ポイント、建築する際のダンドリとスケジュールを解説します。

賃貸住宅の建築で得られる節税効果の解説はこちら
お話を聞いた方
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不動産コンサルタント 小野 信一 氏

ネクスト・アイズ株式会社 代表取締役。不動産建築・取得や資産の悩みに対し、第三者の立場で公正中立にアドバイスをしている。全国での講演や著書も多数で、相談者からの信頼が厚い。

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税理士・行政書士 岡本 篤典 氏

岡本篤典税理士事務所 代表。名古屋国税局・税務署などの勤務を経て、同税理士事務所を開業。行政書士・相続アドバイザー・FP・宅建の資格も持ち、資産課税分野を得意としている。

賃貸住宅を建てる判断基準①:まずは相続対策を含むライフプランを立案

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親から相続した財産を目減りさせずに次の世代に引き継ぐには、まず自身の相続対策が必要かどうかを知ることが大切です。そのためにまず、相続税額の試算とライフプランの想定を行いましょう。

相続税額を正確に計算するのは専門家でないと難しいですが、およその目安なら、金融機関や税理士事務所などのホームページで提供している「簡易シミュレーション」サービスでつかめます。預貯金・株・不動産などの財産目録を作成して遺産総額を出し、相続予定者の人数と属性がわかれば計算できます。

その上で、相続人がもめないように、いかに平等に財産を分割するかを考えます。子どもに賃貸事業を継承する意思があるかどうかも重要です。そして分割した財産に応じた相続税を、各人が支払えるか検証しましょう。相続税が無理なく払える金額なら対策は必要ありませんが、負担が重くて納税が難しい場合は、節税対策の検討が必要となってきます。

また自身の年齢や預貯金、老後の生活資金などを踏まえてライフプランを設計しましょう。アパートやマンション、戸建てなどの賃貸住宅の建築は「相続税の節税」だけでなく、「安定収入の確保」や「所得税の節税」などにも役立ちます。

建築による節税を行おうとする場合は「何を目的」するか、「どのくらいの節税効果や収入を目標」にするかを明確にし、目的や目標が後でブレないようにしましょう。

賃貸住宅を建てる判断基準②:老朽物件は建物状況と入居ニーズを見極める

次は築年の古い賃貸住宅を所有していて、建て替えを視野に入れながらも今後の方向性について迷っている場合に、どう判断すればいいかを考えてみましょう。

まずは建物の状態をチェック。1981年6月1日以前に建築確認を受けた旧耐震設計の建物、外壁や屋根防水などの大規模修繕が近く必要で劣化が進んでいる建などは、今後、構造補強やメンテナンスの過大なコストが負担になってしまうでしょう。

また、間取りや設備が古く、入居者ニーズからかけ離れて入居付けに苦戦している物件は、大掛かりな改修費用が必要になるかもしれません。こういった場合に、後継者が引き継ぐ意思を示し、オーナーも「土地を手放したくない」「相続対策を重視したい」という意向を持ち、将来にわたって賃貸ニーズが見込める地域なら、建て替えが有力候補となります。

なお、新耐震設計の建物で大規模修繕が終わっている場合はリノベーションも選択肢に入りますが、1~2年で投資額を回収できるかが判断の分かれ目。また駅から遠いなど立地が不利な場合や、オーナー自身が賃貸管理を面倒と感じ、受け継いだ土地へのこだわりがないなら、売却や組み換えを検討してもいいでしょう。

老朽物件は建て替えた方が良い?それとも活かすべき?
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賃貸住宅建築の進め方:施工会社への接触前にオーナー自身で勉強・調査を

新築や建て替えを検討するオーナーさんが失敗してしまいがちなのは、何も勉強せず、いきなりハウスメーカーに相談してしまうケースです。営業マンのセールストークに流され、敷地内に建築可能な限りの過剰スペックで契約を結んでしまうことが少なくありません。その前にオーナー側は勉強と準備をしておくことが必要です。

前述した建築の目的や目標を明確にしたら、地域のマーケットや雰囲気を把握することから始めます。オーナーさん自身でできることも多いです。

まず不動産情報サイト(SUUMOやLIFULL HOME‘Sなど)で、所有地と同じ町内にある賃貸物件を検索してみましょう。どの間取りタイプがいくらの賃料で募集しているか、家賃相場を把握できます。また所有地の周囲を実際に歩いて、どんなお店や施設があるか、どんな人が住んでいるか、競合物件や駐車場の様子はどうかを、自らの目でチェック。

地域で人気の間取りや設備などのニーズ、空室率や家賃の動向などは、地場の不動産仲介・管理会社に聞いて情報を収集すると良いでしょう。国勢調査などの資料では、エリアの人口・世帯数の推移を調べられます。

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これらの結果を踏まえて、所有地にどの間取りタイプで何戸の賃貸住宅を建てるか、相続対策の内容と自分の身の丈に合った建築プランをイメージします。その上で複数の施工会社を選定し、プランの提案を受けよましょう。改めて市場調査もしてもらい、自分の調べた内容と照らし合わせます。

事業収支計画は、家賃推移や空室率の見込み、修繕費の設定などが妥当かどうかをチェック。費用対効果は、総事業費に対する満室想定時の年間賃料収入の割合である表面利回りが8~10%以上が目安です。総事業費とは、建物本体の建築費だけでなく、解体費・インフラ整備の付帯工事費・登記料・火災保険料・ローン諸費用などをすべて含めた総額を指します。

建築コストは金額の高低だけで判断せず、融資や金利など資金計画を含めた収支計算を確認。施工会社の信用力により融資のしやすさや金利に差が出たり、施工の実力次第で竣工後のメンテナンス費用が変わるので、慎重に比較して判断したいところです。

最終的に、オーナーの意向を汲んで目的・目標に沿った提案をしてくれる施工会社に決めましょう。

賃貸経営開始までのダンドリ:相続対策は早めに着手しよう

建築を計画してから賃貸経営が始まるまでのスケジュールは下図の通りです。着から竣工までの期間は、建築規模や構造によって変わるので、敷地100坪以下の木造や鉄骨造を目安にしています。すべてのダンドリがスムーズに進んだとして、おおよそ1年3カ月。多少余裕を見て1年半くらいとなります。大規模な鉄筋コンクリート造では建築工事だけで1~2年かかります。

賃貸住宅建築から経営開始までのスケジュール
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ただし建て替えの場合は、既存入居者の立ち退き交渉、解体のプロセスが追加で必要になります。10戸程度のアパートでも、1~2年はかかると覚悟しておいたほうが良いでしょう。

立ち退き交渉などの手続きを含めれば、賃貸経営が始まるまでに2年半から3年程度は見ておきたいところ。貸家建付地の評価減は賃貸が始まらないと受けられませんので、建築途中に相続が発生してしまうと、誤算が生じてしまいます。

さらに、前述した「小規模宅地等の特例」のうち貸付事業用宅地の50%評価減は、相続開始前3年以内に貸付を始めた場合は適用されません。つまり、相続が起きると想定される5~6年前から建築計画に入らないと節税対策に間に合わないのです。相続は、いつ発生するかわからないだけに、早いうちに着手したほうがいいでしょう。

賃貸住宅を建築する判断基準と進め方まとめ

■ 簡易シミュレーションで相続税額を把握し、相続対策が必要か明確にする
■ 老朽化物件は建物状況とエリアの需要を見極め建て替えるかどうかを判断
■ エリアの市場調査を行い目標と目的に沿った間取り・戸数で計画する

※この記事内のデータ、数値などに関しては2021年12月9日時点の情報です。
取材・文/木村 元紀

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