「無料」じゃもう選ばれない!?賃貸アパート・マンションのインターネットは「速度重視」の時代へ
今や電気、ガス、水道と並ぶ欠かせないインフラとなったインターネット。コロナ禍で在宅時間が増し、さらに、リモートワークやオンライン授業の普及によって家庭内で大容量・高速通信のインターネットが求められるようになってきました。「速いインターネットって何?」「どんなインターネットが速いの?」など、インターネット設備の違いが分からないオーナーに向けて、インターネット設備の基本をわかりやすく紹介します。
インターネットを導入済みでも通信速度は要チェック!
インターネットは、テレビ・アンテナ、電話回線をしのぐ通信インフラとして家庭内でも欠かせない存在となりました。部屋探しの人気設備の中でも、「無料インターネット」はもはや定番化しているといっても過言ではありません。
注目したいのは、この1〜2年で急浮上した「高速インターネット」。コロナ禍で仕事も学校もオンラインで家庭に入り込み、家族で同時にネットにつなぐ機会が増えたことで、大容量・高速通信が求められるようになってきています。
情報通信は、今や電気・ガス・水道と同列のライフラインともいえます。数年前の「ブロードバンド(高速)」ではもはや通信速度は遅く、いくら無料でも入居者が不満を抱える一因になりかねません。
新設するなら“真・高速”に舵を切るときが来ています。すでに無料インターネットを導入しているオーナーも、最新のインターネットへの見直しを考えてはいかがでしょうか。
賃貸の入居者が満足する「速いインターネット」は光回線
「高速インターネット対応」を謳うなら、1G(ギガ)bps 以上の光回線の導入は必須です。屋内配線は有線が理想だが、建物の構造や規模によってWi-Fi(無線)方式もあります。広告上のスペックと実際に使えるスピードは違うため、物件に合った設計・提案をする事業者を選びましょう。
物件に合わせたインターネット導入プランを提案してもらおう
インターネットに接続するためには、NTTやKDDIなどのハードの設備を整備する「光回線事業者」と、接続サービスを提供する「プロバイダ」との契約が必要です。
オーナーがインターネットを導入する場合、個別契約ではなく、両者をセットで提案する代理店を通じて一括契約するのが一般的です。新規導入なら、回線速度や通信品質はほぼ同等なので、付加サービスと料金で比較すると良いでしょう。建物の構造、規模、間取りによって適した配線方式が変わるため、物件に合った設計・提案をしてくれる事業者を選ぶことが肝心です。
配線は?「速い」の目安は?インターネットの「知っトク」豆知識
配線の種類
集合住宅内への配線方式には各戸型とシェア型があり、住戸内は各戸専用型が1Gbps、シェア型は「1Gbps ÷住戸数」。高速安定性では各戸型が理想です。
ただ、現在の通信容量(ウェブ会議で2Mbps、動画再生5Mbps程度)なら、部屋ごとの実測値で「10~20Mbps」が出ればシェア型でも充分。総戸数が30 戸以上、ファミリータイプ中心などの場合は、共用部まで1Gbps を2 回線引いて、2Gbps を各戸でシェアする方法もあります。
通信速度が「速い」とされる目安
bps は通信速度の単位で、1G(ギガ)は1,000M(メガ)。表示速度は理論値で、実測値は数分の1になります。光回線でも、初期の頃の200Mbpsでは今や力不足のため、1Gbps 以上がマスト。
プロバイダー側の通信規格でも速度が異なります。数年前までは、混雑しやすくやや遅い「I Pv4」でしたが、現在は快適ハイスピードの「IPv6」に移っています。
※この記事内のデータ、数値などに関しては2022年3月3日時点の情報です。
取材・文/木村 元紀 イラスト/アサミナオ