経費の計上・使い方で得をする!確定申告と節税対策

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2019年2月18日から始まる確定申告。慣れていても見落としがちな経費計上のポイントを、改めて確認しておきましょう。経費は戦略的に使うことで、節税効果に大きな差が出るものです。次回の確定申告を見据えた、賢い経費の使い方をお伝えします。

経費計上のポイントは漏れなく細かく拾う

まず2018年の所得から適用される主な改正点について整理しておきましょう。

「配偶者控除・配偶者特別控除」の控除を満額受けられる配偶者の所得要件が緩和され、従来の103万円から150万円に拡大されました。

納税者本人の控除額は合計所得金額によって変わります。配偶者控除は900万円以下が38万円で、所得が上がるにつれて縮小し、1000万円を超えると配偶者控除が0になります。サラリーマン大家さんだけでなく、青色申告をしている専業大家さんの場合もご注意ください。

また、青色申告の場合に1単位当り30万円未満(年間合計300万円)までは一括償却できる「少額減価償却資産の特例」の適用期限が、2020年3月末まで延長されました。忘れずに計上しましょう。

経費は図表1のように、非常に細かく多岐に渡ります。確定申告にあたっては、これらの経費を正しく、費目ごとに細かく漏れなく拾うことが大切です。経費計上のポイントは、事業用支出と家事関連費の区分です。

最近、私的な利用と区別のつかない車両費や交際費が税務署から否認されたケースがありました。きちんと事業用であることを証明できるメモ書きや費用明細などの記録を残すことが必要です。

注意! 間違えやすい減価償却と経費の判断

次に、税額を大きく左右するのが減価償却費です。これは、建物と付属設備、その他、太陽光発電装置などの固定資産が対象になります。取得時に一括支払いが発生しますが、税務上の扱いとして、法定耐用年数に応じて分割して経費化します。

ただし金額によって扱い方が変わり、1単位当たりの金額が小さい場合は次の取り扱いが認められています。

1)10万円未満なら、「消耗品費」などの形で一括計上。

2)10万円以上20万円未満は、3年間に分けて毎年3分の1ずつ計上。

3)10万円以上30万円未満は前述の「少額減価償却資産の特例」が適用となります。

リフォームやリノベーションで迷いやすいのは、全額経費にできる「修繕費」か、減価償却の対象となる「資本的支出」の違いでしょう(図表2)。

修繕費は、維持管理や原状回復の範囲に入る支出。美装を目的とした外壁塗装などの大規模修繕も、1000万円を超えるような高額でも修繕費として一括計上できます。

一方、資本的支出は、建物自体や付属設備の価値が高まったり、寿命が延びたりする場合の支出のこと。この点を踏まえ、工事費は修繕費に、少額資産も一括償却に、残ったモノを資本的支出として減価償却に回す、

という具合に細かく振り分けて経費にすれば、上手に節税できます。

節税につながる税制と戦略的な経費の使い方

確定申告をきっかけに、見据えておきたい節税対策を紹介しましょう。例えば、次の掛金を全額控除できる制度は節税に有効です。

1:小規模企業共済

個人事業主のための退職金積み立て制度。掛け金の上限は月7万円、年間84万円。サラリーマン大家さんは加盟できない。

2:確定拠出年金(日本版401k)

投資信託や公社債などで運用する個人年金。掛け金の上限は月6.8万円、年間81.6万円。運用益も非課税。サラリーマンも加入できる。

3:経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)

中小企業が取引先の倒産に備えるための制度。掛け金の最高10倍まで無担保・無保証で借入可能。掛け金は月20万円(総額800万円)。大家さんの場合、法人でないと経費計上できない。

節税とはニュアンスが違いますが「ふるさと納税」を活用しているオーナーも少なくありません。控除上限内(課税所得金額の2%程度)で自治体に寄付をすると、2000円を超える金額が所得税・住民税から控除されます。自治体からの返戻品の分だけおトクです。

また確定申告の計算は、最終的な収支が決まる前の11月頃に推計して、年内に経費を調整することで節税ができます。次回の確定申告は早目に取り組んでみましょう。経費として、繁忙期に向けた共用部の特別清掃、宅配ボックスや無料Wi-Fiなど人気の高い設備の導入、仲介会社へのお歳暮など、収益アップに直結する支出は意義のある投資です。

ところで、こうした説明をすると「経費を使うこと=節税」と勘違いする大家さんもいます。しかし、単なる経費の支出はキャッシュの減少にしかなりません。「経費を使うなら、節税の効果を把握した上で、戦略的に使う」というのが正解です。ここで大事なのが課税所得に応じた『税率(所得税+住民税。図表3)』です。

収支を予測し、経費を使えば税率を下げられそうな時に、その範囲内で経費を支出するのが妥当でしょう。

災害にあったときは?

事業用と自宅で扱い方が変わる。事業用建物の修繕費は全額経費計上できる。自宅の場合は、罹災証明書を取れば雑損控除が受けられる。「損失額-総所得金額×10%」と「損失額のうち災害関連支出の金額-5万円」のうち、いずれか大きいほうが控除額の上限。「災害関連支出」とは、災害で滅失した住宅や家財などを取り壊したり、除去するために支出した金額など。なお保険金を受け取った場合は、非課税です。ただし、修繕費や雑損控除の損失額から保険金を差し引いて計上する。

渡邊浩滋総合事務所 大家さん専門税理士


代表 渡邊 浩滋氏


税理士、司法書士、宅地建物取引士。税理士試験合格後、実家の大家業を引き継ぎ、危機的な経営状態の改善に成功。2018年に大家さん専門税理士ネットワークKnees(ニーズ)を設立。フランチャイズにて展開中。セミナー・著書多数。


※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2018年12月12日時点のものです。

取材・文/木村 元紀

スムスム君

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