【節税と相続対策】事業を法人化した大家さん。安定経営継続のコツとは

相続/節税/保険
建てる/融資
その他
  • 戸建賃貸
  • マンション
  • アパートローン
  • オーナー事例
この記事が気になる

【この記事が気になるとは】
会員様限定のサービスです。 会員の方は、「ログインする」そうでない方は、
会員登録して再度アクセスしてください。

ログインする ⁄  会員登録する
閉じる
公開日:2019年5月11日
更新日:2019年11月19日
【節税と相続対策】事業を法人化した大家さん。安定経営継続のコツとは1

サラリーマンから転身して祖父の代から続く賃貸事業を継承した吉村さんは、今春、法人化に踏み切った。目指すは満室経営。家族と過ごす時間を大切にしつつ、不動産投資の規模拡大も視野に、健全で安定した経営を追求する。その熱い思いを聞いた。

【節税と相続対策】事業を法人化した大家さん。安定経営継続のコツとは2

大阪府摂津市 吉村 洋平(よしむら ようへい)さん

株式会社CASA HS代表取締役。不動産実務検定を取得。現在35歳で、家庭では7歳の男児と3歳の女児のよき父親。

キャッシュフローの見直しを機に法人化を決断

サラリーマンを辞めて、祖父の代に相続対策で取得した賃貸住宅を引き継いでから7年。吉村さんは今年2月、株式会社を設立し個人事業から切り替えた。所有しているマンション2棟を4月から法人に移す。

法人化に踏み切ったきっかけは「所有物件の収益性があまり良くなかったので、一昨年、キャッシュフロー(収入から支出を差し引いて残るお金の流れ)の見直しをしたことです」と吉村さんは振り返る。

経営を圧迫していたのは、金利が高く借入期間も短いローンだったので、低金利のローンに借り換え、借入期間も5年延ばした。「ローンの返済額が大幅に減り、キャッシュフローが回るようになりました」と吉村さんは笑顔を見せる。

折しも貸し駐車場の敷地の半分に戸建て賃貸を建てる計画もあり、その資金の借り入れも銀行に申し込んだところ、快諾された。既存マンション2棟が高い入居率を続けており、経営規模の拡大が好感されたのだろう。新たな戸建て賃貸は2016年3月に完成した。

「法人化の目的は、まず賃貸事業の経費と自己の家計をきちんと分けて経理処理を行うことで、賃貸経営の実体や財務状態を明確にすることです。経費として認められる範囲も個人より法人の方が広いですし、経費処理できる生命保険を活用して積み立て、解約返戻金を大規模修繕に充てることなどで、節税が図れます。さらに子ども達はまだ小さいのですが、相続を視野に入れて事業承継の際に有利に働くようにと考えました」と吉村さん。

いずれは家族を役員にして報酬を支払うことで所得を分散させるなど、法人化のメリットを最大限に活用したいという。法人としての経理処理は今年が初めてなので、節税効果が出るのは来春になるが、経営の面白さも感じてきたそうだ。

「当面はキャッシュフローの維持を心がけ、経営が安定してきたら、社会情勢にもよりますが、資産の入れ替えを行うなど新たな投資も検討します。ただ無理はせず経営に余裕をもたせ、子ども達と遊ぶ時間も十分確保して家族で人生を楽しく過ごしていきたいですね」と吉村さん。

満室経営をめざし退去後のリフォームに注力

所有物件はどれも駅近で、学校や買い物施設、医院が揃う好立地。若いファミリーを中心に人気があり、高い入居率を続けてきた。しかし最近、周辺に割安な分譲マンションが相次いで建ち、低金利の影響もあって、賃貸から購入に移る動きが増えてきたのが気がかりだという。

そこで空室対策で注力するのは、いかに住環境を快適にして長く住み続けてもらうかだ。

家賃収入の減少を防ぐだけでなく、もし売却する局面になったとしても、物件価値を維持するため、できるだけ満室にしておくことが重要です。そのため退去後の改修に力を入れています。父の代までは原状回復程度でしたが、それでは家賃の値下げ要求を認めざるを得ません。そこで、魅力ある印象を与えるよう、居室に輸入壁紙を張ってアクセントにしたり、キッチンの扉や浴室の壁にシートを貼って一新しています。そうした戦略が功を奏し、家賃が大きく下がることはなくなりました」と吉村さん。

自主管理の丁寧さは入居者にも好評で、居心地がいいのか新築時から住み続けている人もいる。それでも空室が出た時は、地元だけでなく、市の中心で乗降客が多い特急停車駅周辺の仲介会社にも、物件の魅力を紹介した手作りのチラシを持って入居者募集を依頼して回る。

【節税と相続対策】事業を法人化した大家さん。安定経営継続のコツとは2

入居者募集用の手作りチラシ。仲介会社から「セールスポイントがよくわかり、お客様に説明しやすい」と好評だ

「協力会社さんと親しくなって情報や知識を教えてもらいます。また『がんばる家主の会』にも昨秋入会して交流し、いろいろ勉強させていただいています。人との繋がりが私の宝です」と吉村さん。

目下の課題は3度目の外壁塗り替え時期を迎えている物件。大々的に工事を行うのか、それとも近い将来売却することも考えて最小限の補修にとどめておくかを判断し決断しなければならない。

「いずれにしても独りよがりにならないよう、多くの人と知り合い、いろいろな意見を聞いて経営の方向性をじっくり考えていきます」と気を引き締める吉村さん。今後のご活躍を大いに期待したい。

手入れが行き届いた築23年物件「CASA庄屋」

【節税と相続対策】事業を法人化した大家さん。安定経営継続のコツとは2

築23年とは思えない美しく立派な外観の「CASA庄屋」。とても手入れが行き届いている印象。1階のピロティは駐車場と駐輪場

【節税と相続対策】事業を法人化した大家さん。安定経営継続のコツとは2

防犯カメラの時刻表示に遅れがないか、動作の確認も含めて定期的にチェック

【節税と相続対策】事業を法人化した大家さん。安定経営継続のコツとは2

広い駐車場の一角に設けた駐輪場は整頓を心がけ、常に快適な環境に

【節税と相続対策】事業を法人化した大家さん。安定経営継続のコツとは2

輸入のアクセントクロスで室内をおしゃれに演出

【節税と相続対策】事業を法人化した大家さん。安定経営継続のコツとは2

くすんだ浴室の壁もダイノックシートで新品のような美しさ

【節税と相続対策】事業を法人化した大家さん。安定経営継続のコツとは2

黄色のカラーシートで明るく再生したキッチンパネル

※この記事内のデータ、数値などに関しては2017年4月18日時点の情報です。

取材・文/皆元 初香

この記事をシェアする

関連する企業レポート

関連するセミナー・イベント

関連する記事