「隣地と一体利用している土地」の落とし穴![差がつく!土地持ち相続]|フジ相続税理⼠法⼈/フジ総合鑑定
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相続税の納めすぎを防ぐカギは「土地評価」。今回ご紹介するのは、隣接する息子さんの土地を無償で借りて一体で賃貸アパートの敷地としていた土地の減額事例です。権利関係や道路の状況を調査して、860万円の減額に成功しました。
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この記事の解説者
株式会社フジ総合鑑定 大阪事務所所長
フジ相続税理士法人 社員税理士
相続専門税理士と不動産鑑定士の観点から、適正な土地評価による相続税の節税を図る事務所。26年間で5000件以上の相続税申告・減額・還付業務の実績を誇る。相続税申告、相続税還付手続きのほか、生前の相続対策コンサルティングなども行う。初回相談は無料。
2つの土地にまたがった賃貸アパート敷地
今回は4年前に相続を経験したSさんの相続税還付事例です。Sさんはお母様から多数の不動産を相続し、約5000万円の相続税を納めていました。
4年前の相続税申告書を拝見して気になったのは、賃貸アパート敷地(A土地)の評価です。A土地の隣には、相続以前からSさん自身が所有する土地(B土地)があり、アパートはA・B土地にまたがって建っています(下図参照)。
お母様は息子のSさんからB土地を無償で借り受けて使っていた形です。このように、ある物を無償で借りて使用収益することを「使用貸借」といいます。
A・B土地の北側と南側には道がありますが、その幅は自転車がやっと通れる程度の狭さです。そのため、東側の広いバイパス道路に接するB土地を敷地の一部に利用したことが見て取れました。
このような状況から、当初の相続税申告ではA土地とB土地を一体の土地と捉え、東側道路の路線価にA土地の面積をかけた約3998万円の評価額で申告していました。
しかしながら、国税庁によると自己所有の宅地に隣接する宅地を使用貸借により借り受けて一体利用している場合でも、所有する土地のみを1画地の宅地として評価するものとされています。
したがって、A土地が接しない東側道路の路線価をそのまま適用するのには疑問がありました。こうした点に相続税還付の可能性が見出せたため、さらに詳しく調査を行うことにしました。
「無道路地」であることが判明。無道路地の評価は?
まず道路について役所で聴き取り調査をしたところ、北側と南側の道は「建築基準法上の道路」でないことがわかりました。
建築基準法は建物を建てる際の敷地や構造等に関する基準を定めた法律で、この法に定める道路に一定以上接していない土地は原則として建築が認められません。A土地は建築基準法上の道路に接していない、いわゆる「無道路地」であることが確認されました。
無道路地は道路に接している土地に比べて利用価値が劣ることから、そのマイナスを考慮して評価すべきです。その点、当初の評価では無道路地の減額が織り込まれていませんでした。
固定資産税評価額を用いて評価すれば適正?
ところで、A土地は市街地にあるものの、その周辺で路線価が付いている道路は東側のバイパス道路だけで、他の道路には路線価の設定がない地域でした。このような地域は「倍率地域」と呼ばれ、倍率地域内にある土地は、別途定められた倍率を固定資産税評価額に乗じる方式(倍率方式)によって評価額を求めます。
しかし、A土地の固定資産税評価額を役所で調べてみると、こちらもB土地と一体で算定されており、A土地が無道路地であることが考慮されていませんでした。そのため、倍率方式による評価も適正でないと考えられました。
検討ののち、「無道路地の評価」に準じて評価するのが適正だという結論に至りました。この方法では、まず東側道路の路線価をもとに奥行価格補正等を考慮したA土地の価額を求め、そこから、東側道路へ通路を開設すると想定したその通路部分の価額を控除した金額を、最終的なA土地の評価額とします。
この見直しの結果、A土地の評価額は約3138万円(約860万円の減額)となりました。これが税務署にも認められ、Sさんには約260万円の相続税が還付されました。
土地評価は複雑。丁寧な確認を
今回の事例は少し難しかったでしょうか。
土地評価の教本に出てくる例題と違って、実在する土地は利用状況や権利関係が複雑に絡み合っていることが少なくありません。一つ一つの要素を丁寧に確
認していく必要があります。
もしも土地の評価額を高く申告してしまっていても、申告後5年以内なら相続税の還付請求が間に合います。気軽に無料チェックを受けてみてください。
※この記事内のデータ、数値などに関しては2020年7月7日時点の情報です。
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