飛んできた瓦で破損、一部損壊で賃料減額…自然災害発生時に起こりうるトラブル

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飛んできた瓦で破損、一部損壊で賃料減額…自然災害発生時に起こりうるトラブル1

久保原弁護士による法律相談Q&Aの第19回は、自然災害発生時に起こりうるトラブルです。先日の台風による被害などが記憶に新しいところですが、大規模な自然災害が頻発している現在、災害後のトラブル対策は欠かせません。事前に想定していざというときのために備えておきましょう。

飛んできた瓦で破損、一部損壊で賃料減額…自然災害発生時に起こりうるトラブル2

文/九帆堂法律事務所 弁護士 久保原 和也(写真)、伊藤 和貴

 


〈久保原弁護士プロフィール〉京都大学大学院法学研究科修了。2008 年、九帆堂法律事務所設立。最高裁で勝訴した更新料裁判では、首都圏で唯一の弁護団所属弁護士として様々な情報を発信。


〈伊藤弁護士プロフィール〉東京大学法学部、同法科大学院修了。2018年、九帆堂法律事務所入所。大家さんの代理人として多数の賃貸借案件を扱う。


Q1:所有アパートの隣家の塀が台風でこちらに倒れ、入居者に危険が生じたため、撤去しました。

A1:法的リスクがあるのは否めませんが、命に関わる事態ならば、まず安全を最優先してください。

災害が原因で隣の建物や設備が倒れて物件に被害が生じ、入居者の身体や生命に危険が及ぶ場合、危険を排除することが何よりも重要です。塀がさらに傾き入居者が怪我しないよう、工事業者に依頼し塀を元に戻したり、場合により撤去・解体する必要があります。

隣家のオーナーが塀を所有している場合、本来は所有者である隣家のオーナーに撤去してもらうのが原則です。しかし、生命や身体に重大な被害の発生が差し迫っている等の事情があれば、同意がなくとも危険を排除すべきです。この場合、法的には緊急避難として適法行為となり得ると思います。

災害等が原因で所有者に連絡がつかず、同意なく撤去をした場合、連絡が取れ次第、所有者に説明して事後承諾をいただきましょう。

Q2:強風で隣家のレンガが飛ばされ、建物の窓ガラス・外壁が破損し、修繕が必要になりました。

A2:一定の要件を満たせば隣家の占有者・所有者に対して損害賠償を請求できます

建物や塀・看板等は工作物と呼ばれ、損害賠償請求の要件を緩めた工作物責任が定められています。所有者らは工作物自体が有する危険に応じて、通常予想される危険に対し通常備えているべき安全性を保つべき責任を負うわけです。

工作物の瑕疵による損害について、過失があれば占有者が責任を問われ、占有者が無過失のときは、所有者が無過失責任を負います。

ある日いきなり外壁が剥がれて落下した場合、建物に原因があることは明らかと言え、基本的に損害賠償責任は認められます。

対して、強力な台風でレンガが飛ばされた場合、建物は通常備えているべき安全性を備えていたにもかかわらず損害が生じた可能性があるので、原因調査の結果によっては反論を受けることもあり得ます。

Q3:隣家の屋根瓦が飛んできて所有物件の部屋の一部が使用不能になりました。家賃減額を求められています。

A3:因果関係が認められる範囲内で、隣家に減額家賃分の損害賠償を求め得る場合があります。

家賃は建物の使用収益の対価として支払われるものなので、浸水や飛来した瓦が散乱したこと等が原因でその部屋が使えなくなった場合、使用不能の割合に応じて家賃の減額を求められることがあります(民法改正後は当然減額)。

隣家の工作物の瑕疵が原因で家賃の減額請求を受けた場合には、工作物責任に基づき隣家の所有者らに対して減額分の損害賠償を求めることができます。同様に、窓や外壁等の修繕費用、部屋に散乱した瓦の撤去費用等も賠償を求める余地があります。

ただし、瑕疵と損害発生との間に因果関係が必要ですから、こちらの建物にも欠陥があり、隣家の工作物だけが原因といえない場合、損害全額を賠償してもらえるとは限りませんので注意が必要です。